駆け抜けて「スピード出世」 渡辺、3回転半にこだわり―フィギュア
2023年03月29日07時09分
フィギュアスケート女子で20歳の新星、渡辺倫果(TOKIOインカラミ)にとって激動のシーズンだった。25日まで行われた初出場の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)は、フリーで巻き返して10位。「やっとスタート地点に立った、やっとここまで来られた、という思い。本当にいい経験になった」と充実の表情で振り返った。
転機は昨年10月のスケートカナダ。グランプリ(GP)シリーズのデビュー戦で、得点源のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をフリーで決めて優勝した。GPファイナルは4位。世界選手権代表もつかむなど大きく飛躍した。「スピード出世というか、1年半前には、この景色を見られると思わなかった」
目まぐるしく変わる環境に心が追い付かず、プレッシャーを強く感じることもあった。「(大きな)大会に出ているからこそ。最初はマイナスに捉えていたけど今はプラスに考えている」。気持ちの持ちようも、大会に出場しながら学んだ。
3回転半へのこだわりは人一倍強く、「(トリプル)アクセルは私の生きざま」と強い言葉で表す。「(プログラムに)入れ続けたいし、どんな状況でもやり続けることに意味がある」。来季はこの大技をフリーで1本増やし、ショートプログラムと合わせて計3本組み込む予定だ。
世界選手権フリーの演技後、感極まった中庭健介コーチを「来季もここに戻ってくるんだから、今泣いていたら駄目だよ」と一喝。また一回り成長した姿が見られそうだ。