大日本図書に罰則初適用 来年度教科書検定「不合格」―中学向け3教科・文科省
2023年03月28日17時49分
大阪府藤井寺市立中学校の教科書選定を巡る汚職事件を受け、文部科学省は28日、贈賄側の教科書会社「大日本図書」(東京)に対し、新たな教科書発行を認めない罰則を初めて適用し、2023年度の中学校の教科書検定で同社から申請があっても不合格にすると通知した。
文科省によると、対象は「数学」「理科」「保健体育」の3教科。検定は原則4年に1回で、同社は27年度に予定されている検定に合格するまで、これらの教科書は発行できなくなる。
文科省の教科用図書検定規則では、教科書会社が検定などに絡んで「不公正な行為」をした場合、内容にかかわらず申請した教科書を不合格にすると規定。17年の規則改正で盛り込まれた。
事件では、藤井寺市の教科書選定委員だった元中学校校長が、同社の元取締役ら2人=いずれも贈賄罪で罰金の略式命令=から現金提供や飲食接待を受けた見返りに便宜を図ったとして、加重収賄罪などで有罪判決が確定した。
文科省は、同社や関係自治体の調査結果を踏まえ、対応を検討。教科書選定委員への利益供与を繰り返し、罰金刑を受けたことから、罰則を適用して不合格とすることを決めた。
大日本図書は小学校の教科書も発行しているが、22年度の検定は合格した。
同市立中では同社の数学と保健体育の教科書を24年度まで4年間使用予定だったが、事件を受け23年度から別会社に変更した。文科省によると、不正による途中変更は過去に例がないという。
同社が発行する中学教科書の22年度のシェアは理科が26.8%(3位)、保健体育が14.8%(4位)、数学が5.2%(5位)。
大日本図書の話 改めて深く反省している。社内の抜本的な改革を進め、信頼回復に向けて努力する。