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幕末の白黒写真カラー化 AI技術活用、太平洋戦争も―「興味持ちにくい」受け・教科書検定

2023年03月29日07時05分

AI技術を使って白黒写真をカラー化して掲載した教科書

AI技術を使って白黒写真をカラー化して掲載した教科書

 日本の歴史を学ぶ教育出版の小学6年向けの教科書には、人工知能(AI)の技術を使って幕末や太平洋戦争などの白黒写真をカラー化した計52枚が掲載された。文部科学省の担当者は「教科書でこれだけ大規模に写真がカラー化された例は記憶にない」としている。

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 同社によると、現場の教師から「近現代は白黒写真が多く、子供たちが興味や関心を持ちにくい」といった声が以前からあり、AI技術の進歩を踏まえて決断。著作権者から許諾を得たものについて、収集した当時の資料と突き合わせるなどして完成させた。
 同社の編集者は「学習の前提として興味や関心を持たない限り、その先はない。学習意欲を喚起できれば」と狙いを説明。肖像写真など白黒のまま残したものもあるという。
 検定ではカラー化した写真に対してではなく、巻末に記載したカラー化の説明文に意見が付いたため、資料を参考に推定して着色したといった表現を加えた。
 監修した東京大大学院の渡邉英徳教授は「白黒写真を見ると『昔の出来事』と心の中で位置付けてしまうが、カラー化により今起きていることと地続きに感じられるようになる」と指摘。ロシアによるウクライナ侵攻などに触れ「昭和の時代は重要なことがいろいろ起きた。昔の出来事は自分と無関係と思うのではなく、子供たちには歴史から学んで未来に生かしていくというような捉え方をしてもらえるとうれしい」と話した。
 その上で、カラー化した写真は専門家が可能な限り調べて着色した点を強調。AI技術の進歩により、フェイクニュースや歴史改変が容易な時代になったとし、「過去の出来事をきちんと調べることが大事。子供たちに探求していくスタンスが伝われば」と期待を込めた。

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