アボット元豪首相、改憲に反対　「先住民に特権」と批判

　【シドニー時事】オーストラリアのアボット元首相は２７日、アルバニージー首相（労働党党首）が打ち出した先住民の地位確立のための憲法改正案について、「先住民に統治の特権を与えることになる」として反対を表明した。アボット氏がかつて党首を務めた野党・自由党は、改憲への賛否をまだ決めておらず、党内の反対論を勢いづかせる可能性がある。

豪首相、オバマ氏と会談

　改憲案は、アボリジニなど先住民の地位の明記と代表機関の創設が柱。アボット氏は同日付の豪紙オーストラリアンに寄稿し、先住民への支援は「一般の法律で対応できる」と指摘した。また、過去に先住民の土地などが没収されたことについて「１世紀以上も前のことは、われわれの誰にも責任はない」と主張した。
　一方、アルバニージー氏は記者会見で、代表機関について「先住民に直接関係する問題を協議するもので、防衛・外交政策を扱うわけではない」と説明した。