「札束攻勢」で中国になびく 台湾と断交相次ぐ―中南米・カリブ海
2023年03月28日07時08分
【サンパウロ時事】中南米・カリブ海諸国では近年、台湾と外交関係を断ち、中国と国交を結ぶ国が相次いでいる。いずれも小規模な途上国で、中国から多額の支援を獲得するのが狙い。台湾は関係を続ける残りの国々のつなぎ留めに躍起だが、中国による「札束攻勢」を前に台湾を見限る動きが続きそうだ。
ホンジュラス外務省は、25日の声明で台湾との断交を表明。「一つの中国の存在を認める」とした上で、「台湾は中国の領土の不可分の一部だ」と強調した。
ホンジュラスは4人に3人が貧困状態にある最貧国の一つ。左派のカストロ大統領は昨年1月の就任前から中国との関係強化を唱え、断交のタイミングを計っていた。地元メディアによると、政府幹部は債務の一部返済のために台湾に20億ドル(約2600億円)の融資を求めていたが、「ゼロ回答」だったと語った。
中南米・カリブ海諸国ではこれまで台湾と外交関係を有する国が比較的多かったが、大きく経済発展を遂げた中国の切り崩しに遭い、親台派の国は7カ国まで減少した。
中国の攻勢に台湾も手をこまねいているばかりではない。台湾の蔡英文総統は近く、中米のグアテマラとベリーズを訪問。友好国を相次ぎ訪問することで関係強化を図る狙いとみられる。
こうした中、台湾と外交関係を持つ南米パラグアイでは、4月の大統領選に出馬している左派野党連合候補が、勝利すれば中国と国交を樹立すると表明。与党候補は現状維持を訴えており、中台との関係が争点の一つに浮上している。