2023プロ野球、12球団戦力分析 セ・リーグ
2023年03月27日11時15分
◇ヤクルト、強力打線に若手が厚み
【ヤクルト】球団初のリーグ3連覇に向け、総合力は充実している。三冠王の村上が4番に座り、山田、オスナ、サンタナら長距離砲が並ぶ打線は得点力十分。さらにレギュラー奪取を狙う若手が厚みをもたらす。
3年目の捕手内山は打力を買われ、左翼の練習も積んできた。長打がある浜田、足を使える丸山和にもチャンスがありそう。ただ、オープン戦で欠場が続く塩見や山崎が開幕に間に合わなければ、外野手の守備位置は流動的になるだろう。
先発は日本代表入りした高橋のさらなる飛躍に期待。ドラフト1位の吉村(東芝)やピーターズが加わり、枚数はそろった。救援陣も清水や木沢、田口ら駒は豊富。懸念材料である勝ちパターンの固定は、マクガフの抜けた抑えに新外国人のケラがはまれば盤石となる。
◇DeNA、大物補強奏功するか
【DeNA】25年ぶりのリーグ制覇に向け、米大リーグのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)右腕バウアーを獲得。直近のメジャー登板は1年半以上前だが、最近の練習を映像で見た三浦監督は「いいボールを投げていた」と期待を寄せる。
先発陣はWBC代表の今永が柱。大貫が故障で出遅れたが、笠原の加入、平良の復帰で穴は埋められそうだ。救援は伊勢、エスコバーに三嶋が合流。絶対的守護神の山崎につなぐ勝ちパターンに一層厚みが増した。
2位だった昨季の総得点はリーグ4位。主砲の牧、最多安打の佐野ら主軸の安定感は光るが、他の選手にも奮起が求められる。新戦力のアンバギー、京田は期待通りの力を見せたいところ。森、大和、柴田に新人の林、京田を含めた正遊撃手争いからも目が離せない。
◇阪神、打の新戦力がカギ
【阪神】充実した投手陣を誇る。先発は2年連続最多勝の青柳を筆頭に、ベテラン西勇や伊藤将らが健在。若手の西純や才木もオープン戦で好調ぶりをアピールし、最後の1枠には現役ドラフトで獲得した大竹が入りそう。救援陣もWBC日本代表の湯浅や浜地ら、若手の生きの良さが目立つ。岩崎、岩貞にK・ケラーも控えるなど層が厚い。
18年ぶりの優勝には打線の奮起が欠かせない。安定感のある近本や主軸の大山、佐藤輝の前後をどう固めるか。新外国人のノイジー、ドラフト1位の森下(中大)が名を連ねる見込みで、力強い打線を目指す。
数年来の課題となっている失策数の多さを解消できるか。内野守備の要となる遊撃は小幡と木浪の一騎打ち。競争の中でお互いを高め合い、チームに勢いをもたらしたい。
◇巨人、V奪還へ底上げ必須
【巨人】昨季は中盤から失速。3年ぶりのリーグ王座奪還には、新顔による底上げが不可欠だ。
先発陣は心もとない。柱の菅野は右肘の張りで、開幕に万全で臨めるか気掛かり。計算できるのは昨年12勝で勝ち頭の戸郷くらいで、新外国人のビーディとグリフィン、さらに若い横川や赤星らが定着できるか。抑えは大勢。高梨とロペスが中心の勝ちパターンには、厚みも求められる。
打線は昨季に5年連続30本塁打をマークした岡本和が中心。中田翔、丸が並ぶ主軸の破壊力は高く、主に代打起用とみられる新加入の松田も怖い存在。オコエと吉川の1、2番コンビが機能すれば得点力は高まる。一方で、オープン戦で不振の坂本は不安材料。中堅のブリンソン、今季から右翼の丸が固める外野守備は堅くなりそうだ。
◇広島、投手陣に不安
【広島】4年連続Bクラスからの巻き返しには、投手陣の奮起が欠かせない。
先発陣は開幕投手の大瀬良、九里が柱。順調に仕上がった遠藤、左腕の床田はシーズンを通してローテーションを守れるか。昨季10勝の森下が開幕に間に合わず、来日2年目のアンダーソンや森、玉村、新人の益田(東京ガス)ら若手の台頭に期待。救援陣は矢崎が故障で出遅れ、昨年に続いて抑えの栗林までの継投に不安が残る。黒原や新加入の戸根、河野(大阪ガス)が定着できるか。
打線では、昨季途中に加入した秋山、西川、野間の外野陣は攻守両面で頼もしい。マクブルーム、新外国人のデビッドソンで長打力不足を解消できるか。再び捕手専念の坂倉はオープン戦で好調を維持。新井新監督の手腕も見どころだ。
◇中日、命運握る新戦力
【中日】最下位からの巻き返しへ、新戦力が命運を握る。注目はアキーノ。オープン戦の打率は低いが本拠地の広さを物ともしないパワーがあり、4番に座る見込み。
ドラフト7位新人の福永(日本新薬)も楽しみ。逆方向に長打を打てる右打者で、内野の複数ポジションをそつなくこなす。俊足巧打の同6位、田中(亜大)は右肩の脱臼で開幕には間に合わないが、復帰すれば十分戦力になる。課題となっている得点力不足の解消には、近年いまひとつな3番高橋周、5番ビシエドの奮起も必要。
リーグ屈指の投手陣は、実績のある涌井と救援左腕の砂田が加わり層が厚くなった。先発は松葉やドラフト1位の仲地(沖縄大)らも控える充実の布陣。勝ちパターンの清水、ロドリゲス、マルティネスも健在だ。