2023プロ野球、12球団戦力分析 パ・リーグ
2023年03月27日11時11分
プロ野球は30日にパ・リーグの日本ハム―楽天が開幕し、31日にその他5カードが始まる。キャンプ、オープン戦を通じてチームづくりを進めてきた各球団の戦力の動向を探る。
◇オリックス、V3へ充実
【オリックス】投打に大きな隙はなく、充実の布陣でリーグ3連覇と2年連続の日本一に挑む。
先発は2年連続投手4冠の山本、昨季11勝を挙げた宮城のWBC日本代表を軸に、田嶋や山岡、山崎福と豪華な顔触れ。プロ3年目のドラフト1位右腕、山下もベールを脱ぐ。救援は宇田川、山崎颯に加え、平野佳と比嘉の両ベテランも健在。その他にも阿部、ワゲスパックらが控え、誰かが不調でもカバーできるだけの戦力がそろう。
打線は米大リーグに移籍した吉田の穴を埋められるか。西武から森が加入したが、昨季は不本意な成績に終わった杉本、福田、宗らの奮起は不可欠だ。ゴンザレス、シュウィンデルが打線に厚みを加えたい。高卒5年目の太田、同4年目の紅林がさらなる飛躍を遂げれば、頂点はぐっと近づく。
◇ソフトバンク、投打に厚み
【ソフトバンク】3年ぶりのリーグ優勝、日本一が至上命令となっている今季は、投打ともに充実した戦力で臨む。
先発は駒がそろう。実績のある東浜、石川、和田に加え、開幕投手の大関、救援から転向する藤井も仕上がりは順調。高橋礼や板東、補強した有原、ガンケルも入れて10人前後の投手でローテーションをやりくりし、シーズンを戦い抜く構えだ。モイネロ、オスナら中継ぎ陣も強力で、逃げ切り体制は整っている。
打線には出塁率の高い近藤が加わり、柳田とのコンビで得点力アップが期待できる。昨季大けがで長期離脱した栗原、上林は万全の状態で、選手層に厚みが増す。牧原大や周東も含めて左打者は豊富だが、右打者はやや迫力を欠く。若手の正木、増田やホーキンスら新外国人が定着できるか。
◇投手充実の西武、打線は奮起を
【西武】3位だった昨季はチーム防御率がリーグトップ。今季も投手は充実している。先発はいずれも昨季2桁勝利の高橋、エンス、与座がおり、転向する平良もリリーフ時代と変わらず力を発揮しそう。今井も順調だ。
救援陣は再構築。水上には平良と共に最優秀中継ぎに輝き、新人王にもなった昨季と同様の活躍が期待される。森脇、本田は昨季の防御率が1点台。新外国人のティノコは球威と制球力があり、勝ちパターンの一角を担う力がある。
チーム打率が昨季リーグワーストだった打線は奮起が必要。本塁打と打点で2冠の山川を軸に、源田や外崎、金子らで機動力を生かしていきたい。正捕手だった森がフリーエージェントでオリックスへ移籍した穴を、4年目の柘植を中心に埋められるかどうかもカギ。
◇先発台頭待たれる楽天
【楽天】昨季は春にリーグ首位を走る時期があったが、夏ごろから失速。今季こそ2013年以来の優勝を果たせるか。
打線は昨季リーグ2位の27本塁打を放った浅村、最多安打の島内が中心。米大リーグで通算130本塁打の新戦力、フランコには期待が寄せられる。昨季途中に伊藤裕、今季は阿部が移籍加入し、複数のポジションを守れる選手が増えた。小深田、渡辺佳らもいる内野の競争は激しい。
先発陣は日米通算200勝まであと10の田中将、則本がローテーションの柱。2人に続く新たな顔触れの台頭が待たれる。藤平や滝中ら候補の数はそろっており、一層の奮起が求められる。
抑えの松井裕は通算200セーブまであと3。西口や宮森、鈴木翔、新人の小孫(鷺宮製作所)ら救援陣は充実している。
◇ロッテ、監督の手腕注目
【ロッテ】昨季5位のチームに大幅な戦力補強はなかった。吉井新監督が若いチームをどう率いるかに注目だ。
4年目の佐々木朗が先発陣の中心。個人タイトルを狙う今季、初の2桁勝利は見込める。開幕投手の小島、美馬、新加入のメルセデスは計算が立ち、種市、西野らでどれだけ勝ち星を重ねられるか。救援陣は勝ちパターンを設けず、臨機応変に起用する予定。沢村の復帰は心強く、益田、小野、東條ら駒は豊富。
得点力不足に悩む打線は今季もやや迫力を欠く。昨季チーム最多の16本塁打を放った山口の一本立ちに期待。中村奨、ポランコとの中軸で固定できれば面白い。昨季リーグトップの盗塁数を誇った機動力は強み。盗塁王の高部の出遅れは痛いが、藤原や平沢らでカバーしたい。
◇日本ハム、投打で発展途上
【日本ハム】昨季は一度も最下位を抜け出せなかった。就任2年目の新庄監督は「日本一だけを目指す」と宣言したものの、投打とも発展途上であることは否めない。
打線は近藤がソフトバンクに移籍。昨季首位打者の松本剛はいるが、中軸に座るであろう清宮、野村らの成長がなければ、リーグ最少だった得点の増加は厳しい。投打二刀流のドラフト1位、矢沢(日体大)は戦力となりそうで、オープン戦は打撃で結果を残している。課題の守備力向上も必須。天然芝の新球場への対応も求められる。
強みは先発投手陣。加藤貴、上沢、ポンセ、伊藤と駒がそろい、制球が武器の新人金村(富士大)も計算が立ちそう。一方で、中継ぎには不安が残る。抑えは石川が務める見通しだが、そこまでをどうつなぐか。