米イラン、緊張高まる 報復の空爆に反発―正当化と警告の応酬
2023年03月27日07時07分
【カイロ時事】米軍が23日、シリアにある親イラン派軍事拠点に空爆を加えたことを巡り、米国とイランの緊張が高まっている。バイデン米大統領は24日、訪問先のカナダで「米国はイランと戦いたいのではない。米国民を守りたいだけだ」とイランをけん制しつつ、報復を正当化。イラン最高安全保障委員会の報道官は25日、シリアのイラン関連拠点が攻撃されれば「すぐに対抗措置を取る」と警告した。
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米国防総省によれば、シリア北東部にある米国主導の有志連合の基地が23日、無人機による攻撃を受け、米国の請負業者1人が死亡。米国は無人機がイラン製だと判断し、報復として親イラン派の施設を空爆した。
在英のシリア人権監視団によれば、空爆は数カ所に対して行われ、19人が死亡した。うち3人はシリアのアサド政権の兵士。残る16人は親イラン派民兵だが、そのうち11人はシリア人とされる。
その後、米中央軍は24日、有志連合の拠点に向けてロケット弾10発が発射されたと発表した。人権監視団によれば、親イラン派は別の拠点も砲撃した。
25日になって状況は落ち着いたとも伝えられた。しかし、現地は「緊張感のある静けさ」に包まれていると表現され、一触即発の緊迫感が漂う。
シリア内戦を巡り、イランは過激派組織「イスラム国」(IS)や反体制派と戦うアサド政権を軍事的に支援してきた。政権側が優勢を固めた後も、イランが後ろ盾の組織はシリア国内にとどまり影響力を強めている。
25日付のイラン国営通信の報道によれば、イラン外務省の報道官は、米軍の空爆を「テロ攻撃だ」と非難。イランがシリアへの関与を続けているのは「シリア政府の要請で、テロとの戦いを支援するためだ」と強調した。
米国も有志連合を主導してIS残党の掃討作戦をシリアで継続中。AFP通信によれば、米兵約900人がシリア北東部に展開している。