「ブチャ」商標利用NG ウクライナ議員が法案
2023年03月26日07時02分
ウクライナ最高会議(議会)の議員団は、ロシア軍に民間人が殺害された首都キーウ(キエフ)近郊の地名「ブチャ」など、侵攻にちなむ商標登録や広告を禁止する法案を提出した。24日で侵攻開始から13カ月が経過。徹底抗戦の呼び掛けでウクライナ国民の愛国心は高揚したままだが、そうしたムードの商業利用が目立つようになり、多数の命が失われる中で「不謹慎」と批判されているためだ。
法案提出は20日。現地メディアによると、愛国心に便乗したマーケティングは食品・飲料業界に多い。
昨年2月24日の侵攻開始前に商標登録されたものは適用除外。2014年のロシアによる南部クリミア半島「併合」以降、ウクライナでは愛国心や民族意識が高まり、侵攻開始後はさらに顕著になった。「英雄は不滅」と軍を支持するフレーズを商品名にしたビールや、東部ドネツク州マリウポリで精鋭部隊が拠点とした製鉄所の名称から「アゾフスタリ」という品名が付けられた野菜まである。
特に問題になったのは、日本で「紅茶キノコ」と呼ばれる発酵飲料。欧米では「コンブチャ」の名称でスーパーなどで売られており、ウクライナに便乗商品「英雄的なブチャ・コンブチャ」が登場した。ロシア軍の占領に耐え抜いたというニュアンスを持つ。
この商品の工場はブチャの隣町イルピンにあり、全く無関係というわけではない。ただ、民間人が犠牲になった「戦争犯罪」の現場であることから、ソーシャルメディアで炎上。「(ナチス・ドイツが設置した)アウシュビッツ強制収容所の名称を利用して販売を促進するようなものだ」と批判が出た。