難民認定の「手引」公表 政府、国会審議を念頭―支援団体「厳し過ぎる」
2023年03月24日20時36分
出入国在留管理庁は24日、難民条約上の「難民」かどうか認定する際のポイントを整理した「手引」を初めて策定し、公表した。難民認定の要件とする「迫害」について具体的に説明しているが、支援団体は「なお厳し過ぎる」と批判。手引は、今国会に提出した入管難民法改正案成立に向けた環境整備の側面もある。
難民認定「現実的な危険」必要 ジェンダー迫害も対象―入管庁、定義明確化へ初手引
難民条約は人種や宗教、国籍、特定の社会的集団、政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがある人を難民と規定しているが、解釈は各国に委ねている。日本は基準が厳格過ぎると国際的に非難されており、法相の諮問機関が2014年12月に定義の明確化を提言していた。
手引は迫害について「生命、身体、自由の侵害、抑圧その他の重大な人権侵害」と定義し、殺害の恐れや不当な拘禁を典型例とした。単独では迫害に当たらなくても、いくつかの事情が重なり迫害になり得ると記載。土地の収奪や過重な税金、就労機会の剥奪などを想定している。性的指向やジェンダーを理由とした迫害の可能性がある人も対象と記した。
佐々木聖子前入管庁長官は取材に、「難民該当性(認定)の透明性が高まった。『日本だけが狭く判断している』という国内外の声にファクトを提供できる」と強調。自民党の閣僚経験者は「日本の難民認定はブラックボックスとの批判があるが、ちゃんと対応していることを示せる」と語った。