鉄棒で殴打、食事は劣悪 ウクライナ子供17人が帰還―占領地からロシア側へ連れ去り
2023年03月24日18時13分
ロシアが侵攻したウクライナの占領地から連れ去られた子供のうち17人が帰還した。支援団体が23日に発表した。子供がウクライナのメディアに証言したところによると、ロシア側の収容施設内では「鉄の棒」で体罰が行われ、食事も劣悪で外で調達せざるを得なかったという。
ウクライナ側は連れ去られた子供が「1万6000人以上」と主張。国際刑事裁判所(ICC)は一連の問題で、ロシアのプーチン大統領とリボワベロワ大統領全権代表(子供の権利担当)に逮捕状を出した。
これまで支援団体などの働き掛けで戻ったのは300人余りにすぎないとされ、17人は氷山の一角だ。今回動いた団体は声明で「占領地の解放後もロシア側は子供を返すのを拒否していた」と非難。戦火の中で数々の関門を乗り越える帰還劇は「極めて困難」だったと振り返った。
17人はロシア軍が占領した南部ヘルソン州や北東部ハリコフ州から、ロシア側に連れ去られた。ウクライナのメディアによると、うち1人は収容施設内で「王のように振る舞う」職員の男から鉄の棒でたたかれたと証言した。背中を殴打され、あざができている少女もいたという。
ある日、施設のホールに集められた際、「ウクライナに栄光あれ」「英雄に栄光あれ」と叫んだ子供が職員に引きずり出された。こうした施設では、ウクライナの子供に「愛国教育」が行われているとされる。