抱え込む「東芝」リスク 銀行団、巨額融資で監視強化
2023年03月24日07時08分
東芝を巡る買収案が決着したことを受け、巨額融資を確約した銀行団は東芝の経営に対する監視強化に乗り出す。東芝の再建が進まなければ、債務返済への不安が高まり損失につながりかねないためだ。欧米発の金融システム不安がくすぶる中、各銀行は「東芝リスク」に一段と神経をとがらせることになる。
三井住友銀行など国内5行は2月上旬、東芝に買収提案を行った日本産業パートナーズ(JIP)に対し、最大で1兆4000億円の融資を確約する証明書を送った。今後は、東芝にガバナンス(企業統治)強化のための新組織の設置を求めるほか、財務部門の幹部らに銀行出身の役員を派遣し、経営への関与を強める。
一方、足元では欧米を中心に銀行の破綻や救済合併が相次ぎ、銀行財務に関する懸念が高まっている。これまでのところ、国内の銀行に影響は見られないものの、融資先の返済能力にはより厳しい目が向けられる可能性がある。
大手銀行幹部は「大事なのはこれから。金融機関がリスクをしっかりコントロールしていかなければならない」と気を引き締める。