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日本野球の可能性アピール 中村のリードが接戦演出―渡辺俊介さんが見た「侍」

2023年03月24日07時11分

日本製鉄かずさマジックの渡辺俊介監督

日本製鉄かずさマジックの渡辺俊介監督

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表「侍ジャパン」が3度目の優勝を遂げた。2006、09年大会で日本の連覇に貢献した元ロッテ投手の渡辺俊介さん(現日本製鉄かずさマジック監督)が、世界一になった「侍」の戦いぶりを振り返った。

侍の面々、それぞれの思い WBC

 ◇ ◇ ◇
 漫画でも描けないような素晴らしい決勝。日本は前日の準決勝からのいい流れで入れたし、狙い通りのロースコアの展開となった。
 接戦に持ち込めたのは、中村捕手(ヤクルト)のリードにある。これまでの日本の投手は、バットに当てられるのを怖がってカウントを悪くし、苦し紛れの甘い球を痛打されることが多かった。中村は米国の強打者が振ってきても長打になりにくいコースへ、投手の自信のある球を投げさせた。それに応えた投手陣も立派だった。
 先発の今永(DeNA)から最後の大谷(エンゼルス)まで7人の継投。普段は指名打者制ではなく、継投の多いセ・リーグでマスクをかぶっている中村を先発で起用した栗山監督の采配が功を奏した。
 「世界最強」と言われた投手陣をまとめ上げたダルビッシュ(パドレス)の存在が大きかった。私も出場して優勝した第1、2回大会ではイチローさんが「俺たちの野球は世界で通用する」と言ってくれ、自信を持って臨めた。第2回でその場にいたダルビッシュは今回、宮崎合宿初日から参加し、「野球を楽しくやろう」と説くなど、あの時のイチローさんの役割をこなした。
 世界の野球は、これまで日本が得意としていたスモールベースボールだけでは勝てなくなってきている。決勝では、内野ゴロとソロ本塁打2本の3得点。パワーと技術を兼ね備えた得点で、今後の日本野球の新たな可能性をアピールした。
 WBCに出てくる全チームのレベルが上がっている。その中で日本は素晴らしい試合の連続で、栄冠を勝ち取った。自分たちが優勝した時のチームよりも、今回の方が上だろう。日本野球の底力を示してくれた選手、関係者に「おめでとう」とともに、「ありがとう」の言葉を贈りたい。

 

 ◇渡辺俊介さんの略歴
 渡辺 俊介(わたなべ・しゅんすけ)国学院大から新日鉄君津を経て2001年にロッテ入団。右下手投げで緩急を巧みに操り、13年間で通算87勝82敗、防御率3.65の成績を残し、米独立リーグなどでもプレー。20年から日本製鉄かずさマジックの監督を務める。WBC日本代表には06、09年に選出され、連覇に貢献した。栃木県出身。46歳。

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