肝臓病になりやすく、HBVも ベートーベン、髪の毛のDNA解析
2023年03月24日07時09分
大作曲家ベートーベンの髪の毛からDNAを抽出し、遺伝子を解析したところ、肝臓病になりやすい体質であり、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染していたことも分かった。ドイツのマックスプランク研究所などの国際研究チームが23日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。
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ベートーベンは1770年に現在のドイツ・ボンで生まれ、オーストリア・ウィーンに移って1827年に56歳で死去した。死因は肝硬変とされ、研究チームは遺伝的体質と日常的な飲酒で発症したとの見方を示した。
HBVには死去の数カ月前には感染していたと判明したが、感染時期や経路は不明。一過性ではなく持続的な場合は肝硬変に至る例があるが、ベートーベンの死因に関係があるかはっきりしない。
一方、ベートーベンは20代後半から難聴が進んで聴力を失ったほか、腹痛や下痢に悩まされていた。DNAが劣化して解析できない所もあり、これらの原因遺伝子は特定できなかったという。
研究チームが調べたのは、別々に保存されていた八つの髪の毛の房。このうち五つを本物、二つを偽物と判定し、残る一つは保存状態が悪くて解析できなかった。偽物の一つはベートーベンが鉛中毒だった有力な証拠とされてきたが、女性の髪の毛だった。