異色の経歴、培った人間力 栗山監督、大投手の言葉胸に―WBC
2023年03月22日16時56分
野球日本代表「侍ジャパン」の栗山英樹監督(61)に、現役時代の華々しい実績はない。東京学芸大からテストを経て、ドラフト外で1984年にヤクルト入団。7年間のプロ生活でレギュラーに定着したのは1シーズンだけだ。異色の経歴で代表監督になった。
野球観に大きく影響を与えたのが、引退後に長く務めたスポーツキャスターとしての活動。生粋の野球好きでプロはもちろん、アマチュアや米大リーグなど取材対象は多岐にわたった。
忘れられない言葉がある。メジャー通算324勝を挙げ、ノーヒットノーランを7度達成したノーラン・ライアン投手へのインタビュー。「大リーガーとそうでない選手との違いは?」と尋ねると、大投手は答えた。「人間性だ」
選手や監督という立場の前に、人としてどうあるべきか。「そういったもの(人間性)がないと、長い間頂点には立てないと言われた。そのことだけは大切にしなくては」。そう胸に刻んだ。
プロでのコーチ経験を経ずに2012年から日本ハムの指揮を執り、在任期間は10シーズンに及んだ。16年に日本一。大谷翔平だけでなく、グラウンド外での選手への気遣いや配慮を忘れず、信頼関係は強かった。
「歴代最高」との呼び声高い侍ジャパンの選手集めは際立った。これまでに培った人脈に加え、人とのつながりを大事にし続けた栗山監督の人間力に負うところは大きい。3大会ぶりの栄冠には、「元名選手」にはできない経験が生きている。