大谷、二刀流で世界一 同僚トラウト封じる―WBC
2023年03月22日19時38分
球場内に大谷の名前がコールされた瞬間、客席がどっと沸いた。日本のリードはわずか1点というしびれる場面の九回。3番指名打者で出場の大谷が二刀流の本領を発揮し、抑えとしてマウンドに上がった。「接戦のいいゲームで、本当に緊張した」と振り返る。
この日は大リーグ5年間で経験のない救援登板を視野に、試合中から左翼後方にあるブルペンと三塁ベンチを往復。七回裏の打席では全力疾走で内野安打とし、けん制で帰塁する際はヘッドスライディングも見せた。そんなプレーの直後の八回もブルペンに移動し、最終回の登板に備えた。
九回は先頭で昨季ナ・リーグ首位打者のマクニールに四球を与えたが、その後はシーズン最優秀選手(MVP)受賞経験のあるベッツを二ゴロ併殺に。そして打席に迎えたのがエンゼルスの同僚トラウトだ。
「まさか最後の最後にくるとは」。全米注目の対決では100マイル(約161キロ)前後の速球を連発。外角に大きく逃げる変化球で空振り三振に仕留めた。同僚として「彼のすごさはネクスト(次打者席)から見ている。自分のベストを超えるような球を投げないと抑えられない」。グラブ、帽子を投げて喜びを爆発させた。
試合前、円陣での声出しで仲間を鼓舞した。スターぞろいの米国に対し、「憧れるのはやめましょう。僕らはトップになるために来た」とメッセージ。「尊敬のまなざしが弱気に変わるケースがある。必ず勝つんだという気持ちをみんなで出したかった」と語った。
投打で奮闘し、今大会のMVPに選ばれた大谷。チームを優勝へと導き、「夢見ていたところなので本当にうれしい」。最高の形で締めくくり、感慨深げだった。 (マイアミ時事)