57年の裁判、「これから正念場」 袴田さん姉、再審無罪へ決意新た―支援者らに報告・静岡
2023年03月22日07時07分
1966年に静岡県内で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受けた袴田巌さん(87)の再審開始を認めた東京高裁決定の確定から一夜明けた21日、姉ひで子さん(90)が静岡市内で開かれた報告集会に巌さんと共に出席した。ひで子さんは「57年の長き裁判にやっと勝ちました。ひたすら再審を願って闘ってきた。巌も出てきました。本当にうれしい」としつつ、静岡地裁で予定される再審公判について「半年、1年かかると思う。これからが正念場です」と述べた。
集会前、地元・浜松市での取材に「まだ終わったわけじゃない。もう一踏ん張りしなきゃ」と決意を新たにしたひで子さん。会場に集まった大勢の支援者を前に「私が33歳、巌が30歳の時の事件。私はそれからの40年以上、ニコリともしないで、たぶんおっかない顔をしていたと思う。歌番組なども見る気にもならなんだ」と振り返った。
2014年の静岡地裁決定でいったん再審開始が認められ、約48年ぶりに巌さんが釈放された。「がらっと変わってニコニコするようになりました。元のひで子に変わりました」と笑顔を見せた。
弁護団や支援者の支えに感謝し、「幸せな人生。巌のことは私の運命」と語った。
巌さんに「再審開始になったよ」と告げて朝刊を見せたところ、食い入るように見ていたと明かした。高裁から郵送された決定文も示し「もう安心だよ」と声を掛けたという。
集会の途中から巌さんも加わり、拍手で迎えられながら「袴田巌でございます」などと1分ほどあいさつした。
弁護団長の西嶋勝彦弁護士は「袴田事件は無実の方々に救済の道が開かれる突破口になるのではないか。一日も早く再審公判に決着をつけ、本当の意味の自由を巌さんとひで子さんに享受していただきたい」と強調した。