文化庁、なぜ移転? 引っ越し費用11億円―ニュースQ&A
2023年03月21日15時17分
地方創生の一環で、27日に文化庁が東京から京都へ「全面移転」する。ただ、全9課のうち他省庁や関係団体とのやりとりが多い4課は東京に残留。移転する5課も引っ越し費用が11億円かかるほか、職員の出張費も発生する。
文化庁、27日に京都移転 地方創生で発信力強化―出張費、年4700万円
―そもそもなぜ京都に移るの。
中央省庁は東京・霞が関に集まっているが、人口が東京に集中し、地方の活力をそぐ原因の一つとも言われている。これを見直すため、政府は2014年、一部省庁を移転する方針を決め、受け入れ自治体を15年に募集。調整の結果、文化庁の京都移転が16年に決まった。
―京都のどこに移転するの。
京都御所の近くにある旧京都府警庁舎(京都市上京区)だ。ここを改修して使うほか、隣に新庁舎も建設した。庁舎は京都府が所有し、文化庁は府に賃料を払う。
―移転対象の課とそうでない課は?
総務を担う政策課、文化財の保存・活用を行う文化資源活用課、美術品や建造物の国宝指定を担う文化財第1課と第2課、宗教法人を所管する宗務課の5課が移転対象だ。ただ宗務課は当面の間、東京に残る。
残る4課のうち企画調整課は国会関連の業務が多い。国際交流を担う文化経済・国際課、外国人への日本語教育を所管する国語課は、外務省や法務省との連携が不可欠。著作権課は日本音楽著作権協会(JASRAC)や出版社との打ち合わせがあるため、東京が便利と判断された。
―職員はずっと京都に住むの。
文化庁職員には、文部科学省で採用され同庁に出向している事務官と、同庁採用で美術品調査などに携わる技官がいる。前者は数年で東京の本省に戻る。後者は定年まで京都勤務になるため、移転決定時に退職した人もいたそうだ。都倉俊一長官も在任中は京都に拠点を移す方向という。
―移転費用は。
同庁によると、引っ越し代は11億1000万円。移転後は庁舎の賃料や光熱費(4億1000万円)、東京への出張費(試算で4700万円)が毎年かかる。
―京都の職員も東京に出張するの。
国会対応や国会議員への説明、緊急案件などの際は出張の必要があるそうだ。年間1400往復を見込んでいる。