こども家庭庁、4月1日発足 「異次元の少子化対策」司令塔―財源、地方連携に課題
2023年03月20日13時32分
子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」が4月1日、発足する。「異次元の少子化対策」を掲げる岸田文雄首相の下、少子化や虐待、いじめなど複数省庁にまたがっていた子どもを取り巻く課題に対し、一元的に対応。子どもや若者の意見を政策に反映させる仕組みも導入する。ただ、具体策はこれからで、財源の手当てや地方との連携など課題は山積している。
同庁が目指すのは、子どもの利益を第一に考える「こどもまんなか社会」。厚生労働省から保育所や虐待防止、障害児支援など、内閣府から認定こども園や子どもの貧困、児童手当などに関する事業をそれぞれ移管する。これまで行き届かなかった未就園児家庭の支援、インターネット上や塾などで起きるいじめの防止にも取り組む。
小学生~20代の約1万人から対面やインターネット交流サイト(SNS)で意見聴取する事業にも乗り出す。「大人が勝手に考えて子どもに押し付けるルールがたくさんある」(小倉将信こども政策担当相)ためで、近く募集を始める。日大で子ども政策が専門の末冨芳教授は「大人が子どもの権利を学び、率先して意見を聴くという、あるべき姿を示してほしい」と期待を寄せる。
岸田首相は今月17日の記者会見で「次元の異なる少子化対策を岸田政権の最重要課題として実現する」と強調。児童手当の拡充や男性の育児休業取得促進などに取り組むと表明した。
政府は今月末をめどに、こうした支援策のたたき台をまとめ、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」を策定する6月までに、将来的な「子ども予算倍増」の大枠を示す方針。ただ、多額の財源をどこまで確保できるかは不透明だ。
少子化対策には、国と地方の連携も欠かせない。文部科学省であれば教育委員会、厚労省であれば福祉部局が自治体側のカウンターパート。ところが、こども家庭庁には、どの部署が対応するのか明確でない自治体も多く、子ども政策の司令塔部署を設置する動きも鈍い。
同庁は地方との「顔が見える関係」を目指し、長官官房に地方連携を専門とする担当者を配置。各自治体と定期的に協議する方針だ。