蓄えた圧力と自信 翠富士、元大関撃破―大相撲春場所
2023年03月18日20時43分
短い攻防の中に、蓄えた地力と鼻っ柱の強さが垣間見えた。ともに無傷の6連勝同士でぶつかった一番で高安を退けた翠富士。小結大栄翔に土がつき、勝ちっ放しはただ一人となった。
元大関の強烈なかち上げに体が起きかけても、ひるまない。重い突きにあてがって応戦。相手の足がそろったところを右から突き落とした。「立ち合いで押し負けなかったので決まった」と胸を張る。
幕内では最軽量の117キロ。肩透かしを得意としている中、徐々に圧力もついてきた印象だ。60キロ重い高安を前に「横綱とやっているので、そこまで怖いわけではない」とさらり。伊勢ケ浜部屋では兄弟子の照ノ富士に鍛えられ、「何でか分からないが、(今場所は)前に出られている」。日々の稽古のたまものだろう。
単独トップにも「いつバーッと負けるか分からない」と気負いはない。貴景勝が休場して横綱、大関が不在となった春場所。「自分は自分の相撲を取るだけ」と言い切る。無心で土俵に上がり、己を貫く覚悟だ。