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「戦争」利用、プーチン氏5選へ準備 ロシア大統領選まで1年―ウクライナ侵攻下、異論弾圧

2023年03月18日07時18分

年次教書演説に臨むロシアのプーチン大統領=2月21日、モスクワ(AFP時事)

年次教書演説に臨むロシアのプーチン大統領=2月21日、モスクワ(AFP時事)

 は、1年後の2024年3月17日に投開票が見込まれる。プーチン大統領は再出馬に関して態度を明らかにしていないが、ウクライナ侵攻が長期化する中でも選挙は予定通り実施されると断言。クレムリン(大統領府)では通算5選に向けた準備が着々と進んでいると伝えられる。政権はむしろ「戦争」を選挙にとってプラスの材料とさえ捉えている節がある。

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 ◇延期説は封印
 「法律に厳密にのっとり、民主的な憲法上のあらゆる手続きに従って行われる」。プーチン氏は2月21日の年次教書演説で、次期大統領選の時期を「24年」と確認。ロシアが一方的に「併合」したウクライナ東・南部で敷いている戒厳令は、選挙実施の足かせにはならないとの立場を示した。
 「祖国防衛」を主張して国民の愛国心を高める一方、プーチン氏に逆風が吹いた場合、戒厳令を含む「戦時体制」を理由に大統領選を延期するシナリオもささやかれていた。プーチン氏が予定通りの実施方針を明言したことは、政権が現状について「順風」と考えている可能性を示唆している。
 政権はもともと反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏らを弾圧していたが、侵攻開始後は反戦の声を「偽情報」として厳しく取り締まり、リベラル派は出国や沈黙を強いられた。政治参加に無関心な大多数の保守層には「戦時大統領」の姿しか見えず、世論調査でプーチン氏は8割の支持率を維持する。
 ロシア紙RBKは今月6日、クレムリンの内政担当が最近、プーチン氏の再出馬を前提に次期大統領選の準備会合を開いたと報道。前回18年の投票率(約68%)と得票率(約77%)を上回る結果を出す目標が提示されたという。
 ◇早くも支持表明
 「現職プーチン氏を支持するよう党員に提案するつもりだ。最も正しい愛国的な決定だと思う」。政権に従順な左派政党「公正ロシア」のミロノフ党首は2月22日、プーチン氏が態度を表明していないにもかかわらず、国営テレビのカメラの前で早くも支持を打ち出し、プーチン氏の「独り勝ち」を後押しする姿勢を鮮明にした。
 ミロノフ氏の発言は、侵攻開始1年を前に国民の「団結」を演出するため、モスクワの競技場で開かれた官製集会で出た。政権はウクライナ南部クリミア半島を併合した「記念日」に当たる18日の集会を見送ったが、5月9日の対ドイツ戦勝記念日は盛り上げる構えで、保守層の支持固めに余念がない。
 プーチン氏は欧米メディアで「重病説」が報じられたものの、健康問題を感じさせず内政・外交をこなしてきた。先の年次教書演説では「ロシアを打ち負かすことは不可能だ」と強調。今後も戦況にかかわらず「勝利」をもたらすのは自分だけとかたくなにアピールを続け、侵攻で国民の危機感をあおって選挙シーズンに突入する構えとみられる。

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