北朝鮮がICBM発射 日韓の安保協力けん制か―70分間飛行、北海道沖に落下
2023年03月16日19時38分
【ソウル時事】北朝鮮は16日午前7時9分ごろ(日本時間同)、平壌近郊から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級1発を日本海に発射した。防衛省が発表した。約70分間飛行し、北海道・渡島大島西方沖約200キロの日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定される。
韓国の尹錫悦大統領の初来日と日韓首脳会談当日の発射で、日韓や日米韓の安全保障協力強化をけん制したもようだ。北朝鮮の弾道ミサイル発射は今年6回目。
飛行距離は約1000キロ、最高高度は約6000キロを超えた。通常より高い角度の「ロフテッド軌道」で発射したとみられる。弾頭重量などによっては射程が1万5000キロを超え、全米が含まれる可能性がある。韓国軍は、最新型の「火星17」と類似したICBMとみている。
北朝鮮によるICBMの発射は先月18日以来。韓国軍によれば、前回と同様に平壌の順安空港一帯から発射された。
韓国政府は緊急の国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いた。尹氏は、米韓合同軍事演習の徹底を指示し、日米韓の安保協力を強化する考えを示した。
日本政府によると、船舶や航空機などの被害は確認されていない。日本政府は、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議した。米政府も声明で発射を非難した。
ICBMは、尹氏が日本へ出発する約3時間前に発射された。鄭成長・世宗研究所統一戦略研究室長は「直前の発射は日韓の安保協力強化の兆しに反発を示すものだ」と分析。ただ、挑発はむしろ日韓や日米韓の協力を強化すると指摘した。
米韓は13~23日の日程で大規模合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」を実施している。北朝鮮は、演習に対抗する形で軍事行動を繰り返し、14日にも韓国全土を射程に入れる短距離弾道ミサイル2発を日本海に撃った。
峨山政策研究院の梁旭研究委員は「14日の発射は戦術核で韓国を攻撃できる能力を示し、16日のICBM発射は米本土を打撃できるという対抗能力を見せた」と解説。梁氏は今後も北朝鮮の挑発が続く恐れがあると懸念を示した。