イランが対外融和誇示 デモ隊には恩赦、なお懐疑の目
2023年03月16日07時07分
【イスタンブール時事】イランがサウジアラビアとの外交関係再開で合意するなど対外融和姿勢を誇示している。米欧から「弾圧」と厳しく非難されている抗議デモへの対応でも、拘束したデモ参加者の恩赦を進める。ただ、国際社会ではイランの変化を懐疑的に見る向きが強く、実際に融和が進むかはなお不透明だ。
イエメン、シリア情勢などを巡り近年鋭く対立してきたサウジとは10日、中国の仲介により7年ぶりの関係再構築で合意した。これを受け、イラン外務省のカナニ報道官は13日、「(中東)地域の前向きな雰囲気」に言及。湾岸諸国の中でとりわけイランへの警戒感が強いバーレーンとの関係修復にも意欲を見せた。
核問題を巡っても4日、国際原子力機関(IAEA)との間で「核施設への監視強化」で合意するなど一定の譲歩姿勢を示している。
こうしたイランの動きにもかかわらず、国際社会での警戒感は根強い。サウジのファイサル外相はアラブ圏紙アッシャルク・アルアウサトのインタビューで「外交関係の回復が全ての問題を解決するわけではない」と指摘し、イランが核開発問題でIAEAと協力を深めることなどを求めた。
一方、昨年9月にイランで激化したスカーフ着用抗議デモでは、モホセニエジェイ司法府代表が今月13日、これまでにデモ参加者2万2000人超が恩赦の対象になったと明らかにした。最高指導者ハメネイ師は先月の革命記念日に合わせ、デモ参加者を含む数万人に恩赦を与えると決定していた。
半年たった現段階でデモの勢いは衰えており、当局には恩赦を進めて人道重視の立場を内外にアピールする狙いもあるとみられる。また、イランのアブドラヒアン外相は12日、米国との間で懸案となっている囚人交換について「合意に至った」と主張したが、米国務省は直後に家族の苦悩を深める「残酷なうそだ」と不信感をあらわにした。