「ロシアのドン」に処分 東京五輪の発言が問題視―新体操
2023年03月14日05時02分
新体操王国ロシアで多くの世界女王を育てたイリーナ・ビネル氏(74)が、ヘッドコーチ(HC)として臨んだ2021年東京五輪での言動を問題視され、2年間の資格停止処分を科された。6日に懲戒手続きの結果を発表した体操倫理財団は内容の詳細を明かさなかったが、審判団が反ロシア的だとする趣旨の発言をしたと米メディアは報じた。
ロシア勢は組織的なドーピング問題の影響で、国を代表しないロシア・オリンピック委員会(ROC)として出場。金メダル候補だったものの、個人総合はイスラエル選手に敗れ、団体総合ではブルガリアに後れを取って2種目とも銀メダル。00年シドニー大会から続いた覇権を失い、納得がいかなかったようだ。
ビネル氏は生まれ育ったウズベキスタンの元トップ選手。現役引退後は母国や英国でコーチとして頭角を現し、1992年バルセロナ五輪後にロシアへ渡った。手腕が認められて同国代表HCとなり、08年からは新体操連盟の会長に。プーチン大統領とも親しいとされ、競技関係者の中には「ロシア新体操界のドン」と呼ぶ者もいる。
政府によるウクライナ侵攻により、新体操選手を含む多くのロシア勢は国際競技会から除外されている。そのため、ビネル氏の資格停止期間が始まるのはロシア選手の出場が許されるようになってから。国営タス通信は、「ロシアに対する差別だ」と憤る政府高官のコメントを伝えた。 (時事)