レバノン伝統の帽子「ラッバーデ」 最後の職人
2023年03月13日16時58分
【ハラジェル(レバノン)AFP=時事】中東レバノンの雪深い山の中。ユスフ・アキーキさん(60)は、千年続く伝統的な羊毛を使った帽子「ラッバーデ」を作っている。(写真はラッバーデを手掛ける帽子職人のユスフ・アキーキさん。レバノンの村ハラジェルで)
ラッバーデという名はアラビア語のフェルトに由来する。アキーキさんは、自分がラッバーデを作れる最後の職人だと話す。
アキーキさんは、出身地である標高1200メートル以上の山の上にある村ハラジェルでAFPの取材に応じた。
ラッバーデは丁寧に手作りされている。羊毛を日干しした後、オリーブとローレルの油が配合されたシリア・アレッポ産のせっけんと水を使って成形し、手でフェルトに仕上げる。
「こうすることで羊毛が縮み、パン生地のように延ばせるようになる」と語る。その手は、長年の作業で荒れている。時間がかかるため1日に3個作るのがやっとだ。
防水効果もある帽子は機能的で暖かいが、普段使いする人はほとんどいない。
購入するのは主に観光客や子ども時代を懐かしむレバノン人だ。かぶるのではなく家に飾る人が多い。
ラッバーデのデザインは、古代フェニキア人がかぶっていた帽子が原型だが、フェニキア人のものは「もっと長かった」とアキーキさんは言う。
アキーキさんは帽子の収入だけで暮らしていくのは難しいため、農業もやっている。顧客を増やすため、モダンなデザインも手掛けている。また、伝統の技をおいに伝授している。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕