連鎖破綻阻止へ、預金全額保護 銀行の公的救済は否定―米当局
2023年03月13日16時14分
【ワシントン時事】米中堅銀行シリコンバレーバンク(SVB)やシグネチャー・バンクの相次ぐ経営破綻に対し、米財務省など当局は12日、銀行の連鎖破綻を防ぐため、預金の全額保護を早々に打ち出した。市場や預金者の不安払拭(ふっしょく)に努める姿勢を示したが、一方で公的資金による金融機関の救済を否定。信用不安を食い止められるか、不透明感が漂う。
「米国民と米企業は、銀行預金が必要なときに手元にあると確信できる」。バイデン大統領は12日の声明で、預金保護を明言した。SVBの処理で焦点となっていた、1口座当たり25万ドル(約3400万円)の預金保険保護対象を上回る部分についても、払い戻しを確約した形だ。特に企業の間で広がっていた預金への懸念に対処した。
一方で当局は、公的資金による銀行救済には早くから消極的だった。2008年の金融危機当時、「大き過ぎてつぶせない」として、リスクの高い取引をしていた大手銀が次々と救済された。幹部が高額報酬をほしいままにしていた銀行への税金投入には、強い批判の声が上がった。
イエレン財務長官は12日のテレビインタビューで「銀行救済を再び行わない」と強調。バイデン氏も破綻処理で「納税者のカネはリスクにさらさない」と表明した。だが、未曽有の規模となった金融危機は、銀行システムへの公的資金注入で何とか収まった側面は否めない。
今回、不安の連鎖を止めるため、連邦準備制度理事会(FRB)が金融機関への新たな資金供給プログラムを導入。当面は銀行システムに潤沢な流動性を注ぎこむ構えを示す。ただ財務省高官は「SVBなどと似た問題を抱える銀行は複数ある」と明言。「今や連鎖破綻リスクに直面している」と、警戒感をあらわにした。