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台湾侵攻は「習氏の判断次第」 中国全人代―香田元自衛艦隊司令官

2023年03月14日07時17分

香田洋二元自衛艦隊司令官=2022年9月、横浜市

香田洋二元自衛艦隊司令官=2022年9月、横浜市

 全国人民代表大会(全人代)を終え、3期目の体制を整えた中国の習近平指導部は、台湾侵攻も視野に軍備の増強を急いでいる。中国軍の実力をどう評価すべきなのか。香田洋二元自衛艦隊司令官に聞いた。

台湾有事はあるか、そしてその時日本は 兼原信克

 ―中国海軍をどう見るか。
 中国軍は艦艇を急いで建造している。しかし、兵士の訓練はなかなか追いつかない。中国軍は「一番やってはいけないこと」をやっているなと思う。
 ―中国は作戦立案などで人工知能(AI)を活用しようとしている。
 AIを使うためには、自分たちが今まで経験した戦争のデータが必要だ。しかし、1979年の中越戦争後、中国軍は本格的な実戦を経験していない。机上の「理論上100点に近いAI」を作ることはできるだろうが、実戦で米軍に対して機能するとは限らない。米国と中国のAIでは大差があるだろう。(中国軍は)「米軍とはまだ戦えない」と分かっているだろう。
 ―米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)報告書で、台湾侵攻が行われれば、中国だけでなく日米も大きな損害を受けると指摘された。
 (中国軍の兵器の性能などを)米国と同じ程度の条件で計算しているのだろう。能力評価は目に見えないところも含めないといけない。過小評価は禁物だが、過大評価もいけない。実戦経験の不足は補えない。
 ―ロシアによるウクライナ侵攻は中国軍の動向に影響しているか。
 とても大きく影響していると思う。実戦経験のない中国軍にとっては、新しい教材を得たようなものだ。ロシアが短期間での首都キーウ(キエフ)の攻略に失敗したことを見れば、中国軍は「台北を電撃作戦で掌握することは極めて難しい」と判断しているのではないか。自分たちに足りないところをどのように補うべきか考えていると思う。近い将来に中国が台湾を侵攻する可能性が小さくなったのではなく、(ロシア軍の苦戦を)教訓として、台湾侵攻を成功させるために努力すると考えるべきだ。(台湾を侵攻するかどうかは)習国家主席の判断次第だ。「中国の方が失うものが大きいから侵攻しないだろう」という考えは浅はかだ。

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