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対立陣営に奇妙な唱和 中東各国、歓迎と評価―サウジ・イラン関係修復

2023年03月12日07時14分

シリアで記者会見するイランのアブドラヒアン外相=9日、ダマスカス(AFP時事)

シリアで記者会見するイランのアブドラヒアン外相=9日、ダマスカス(AFP時事)

  • サウジアラビアのファイサル外相=9日、モスクワ(AFP時事)

 サウジアラビアとイランの関係修復に対し、これまで中東を二分してきた双方の陣営各国からは歓迎と評価一色の奇妙な唱和が起きた。イスラム教スンニ派とシーア派は、民衆レベルで互いに憎み合い、相いれないと考えられてきた。流血を伴った対立感情が解きほぐされる契機となるのか。

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 「新しいページが開かれた」。これまで水面下で仲介してきたイラクは10日、直ちに声明を出して歓迎した。両国のみならず「中東各国の協力への刺激」になると評価した。
 国内にスンニ派とシーア派を抱えるイラクにとって、両派の代理戦争の舞台になり続ける事態は耐え難い。2020年に情報機関出身のカディミ首相が就任すると、翌年からサウジやイランの情報機関や治安組織の関係者をイラクに招き、水面下の交渉を重ねてきたとされる。
 シーア派の「イラン陣営」では、レバノンのシーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師が「良い変化だ。中東に新たな視野が開かれるかもしれない」と評価した。ロシアとイランに支えられているシリアのアサド政権も11日になって、国営シリア・アラブ通信を通じ歓迎する考えを示した。
 イエメンでは、イランの影響力拡大を嫌ったサウジのムハンマド皇太子が主導する15年からの軍事介入で内戦が泥沼化した。親イラン武装組織フーシ派は10日、ツイッターに「外国の干渉の結果失われた安全を取り戻すために関係修復は必要だ」と書き込んだ。
 スンニ派の「サウジ陣営」では、アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンが歓迎する姿勢を示した。エジプト外務省も地域の緊張緩和につながることに期待を表明している。
 関係修復に対する激しい反応は起きていない。イランの入念な準備が一定の効果を示したようだ。
 イランのアブドラヒアン外相は、アンマンで昨年12月にサウジのファイサル外相と会談して以来「正常化は近い」と繰り返し吹聴してきた。発表前日の9日もシリアで記者会見し、トルコ大地震のシリア被災地支援を行ったアラブ各国に「歓迎している」と表明し、いつになく融和姿勢を強調していた。

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