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利上げ加速、判断難しく 地銀破綻で不安配慮も―米FRB

2023年03月13日07時55分

経営破綻した米中堅地銀シリコンバレーバンクの本社=10日、カリフォルニア州サンタクララ(AFP時事)

経営破綻した米中堅地銀シリコンバレーバンクの本社=10日、カリフォルニア州サンタクララ(AFP時事)

 【ワシントン、ニューヨーク時事】10日公表された2月の米雇用統計は、就業者数が引き続き大幅に増加し、労働市場の好調さを改めて示した。一方、同日には中堅地銀のシリコンバレーバンクが経営破綻。連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げで、一部銀行を取り巻く環境が厳しくなっている実態が浮き彫りになった。パウエルFRB議長は利上げ加速の可能性を示唆したばかりだが、金融不安に配慮する必要も増しており、21、22両日の金融政策会合ではこれまで以上に難しい判断を迫られそうだ。

米国株ほど調整しない=ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト矢嶋康次氏

 景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は2月、季節調整済みで前月比31万1000人増となり、伸びは市場予想の20万人程度を大きく上回った。バイデン大統領はホワイトハウスで記者会見し、「経済は正しい方向に進んでいる」と胸を張った。
 そんな米経済の先行きに、FRBの金融引き締めが影を落とす。人手不足を背景とする賃金の大幅上昇を受けたサービス分野の値上がりが根強いインフレを招く中、FRBは物価抑制に向け、従来の想定以上に利上げを行う構えだ。
 ただ、FRBは既に1年足らずで政策金利を計4.5%も引き上げている。歴史的にも急ピッチの利上げで金融環境は急激に悪化。西海岸でベンチャー企業などに融資していたシリコンバレーバンクは、資金調達が困難になった顧客企業が多額の預金を引き出し、経営が急速に傾いた。
 動揺は他の中小金融機関に広がっており、一部銀行株は10日、20%超急落した。市場では、著しい金利上昇(債券価格は下落)を受け、銀行が抱える債券の含み損や資金繰りへの警戒感が強まっている。イエレン財務長官は同日、下院歳入委員会の証言で「2、3行の動向を極めて注意深く監視している」と明かした。
 パウエル氏は7日の議会証言で、経済指標次第では「利上げペースを加速する用意がある」と発言。利上げ幅を通常の0.25%から再び0.5%へ拡大することに含みを持たせた。ただ、14日に2月の消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、銀行システムにも目配りしなければならず、次回会合での政策決定はなお不透明だ。

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