習氏腹心、問われる経済手腕 発展けん引、調整役も―李強・新首相
2023年03月11日20時38分
中国・北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)で新首相に選ばれた共産党ナンバー2の李強氏。中国で経済が最も発展した上海市、浙江省、江蘇省の長江デルタ地帯(華東地域)での勤務経験が長く、「改革・開放」による経済発展を引っ張ってきた。習近平国家主席が浙江省トップだった時期から支えてきた腹心。国政経験はないが、ゼロコロナ政策で大きく傷ついた中国経済の立て直しに向け、その手腕が問われる。
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人民大会堂で11日開かれた全体会議で首相に選出されると、李強氏は一礼し、笑顔で習氏、李克強・前首相と相次いで握手。一連の全人代会議では隣に座る習氏と親しそうに会話をする姿も見られた。路線対立で習氏とのあつれきが伝えられた李克強氏とは異なり、李強氏と習氏の間には「信頼関係」が垣間見える。
李強氏は商人の経済活動が活発なことで知られる浙江省温州市出身で、17歳で水利施設職員としてキャリアを始めた「たたき上げ」。習氏が浙江省トップだった時期に秘書長として仕えた。習氏の執務室近くで寝泊まりし、夜遅くまで仕事をする習氏に付き添ったとされ、厚い信任を得た。
江蘇省トップを経て、上海市トップに。中国電子商取引最大手・阿里巴巴(アリババ)集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏との交流が深く、上海に米電気自動車(EV)大手テスラの工場を誘致。ただ、昨年春には上海で新型コロナウイルスの感染封じ込めに失敗し、2カ月間のロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされたことで批判も浴びた。
これまでの経験から「経済発展への関心が高い」との評が多い。性格もおだやかで、配慮深いと言われる。「一強体制」を強める習指導部では、習氏との近さから「調整役」としての役割も期待される。ロイター通信によれば、昨年の「ゼロコロナ」政策解除の際には、感染拡大を懸念した習氏が一時ためらったにもかかわらず、李氏が政策転換を推進し、大幅な防疫措置の緩和につながったという。