マスク緩和、花粉症増懸念 飛散量、10年で最多予測も―専門家「心配なら継続を」
2023年03月11日13時33分
新型コロナウイルス対策としてのマスク着用は13日から基準が緩和され、個人の判断に委ねられる。ただ今年はスギ花粉の飛散量が過去10年で最多の地域もあると予測され、急に外すことで花粉症患者が増えることなどが懸念される。専門家は「心配な人は引き続き着用を」と訴えている。
環境省によると、今年春のスギ花粉飛散量は関東、北陸、近畿、中国地方などで極めて多い見込み。特に福島や東京など12都府県では花粉を放出するスギ雄花の数が過去10年で最大だ。気温が高い日が続き、飛散は全国的にピークを迎えているとみられる。また、スギ花粉より約1カ月遅れて飛散が始まるヒノキ花粉にも注意が必要だ。
日本では新型コロナ流行に伴い、屋内外を問わずマスクを着用する生活スタイルが定着した。花粉症に詳しい日本医科大耳鼻咽喉科の大久保公裕教授は、マスクにより花粉が長期間遮断されたため、鼻の奥にある上咽頭の免疫装置が敏感になっていると指摘。花粉を異物として検知することで起きるアレルギー反応が強まり、新たに花粉症を発症する人や、鼻水などの症状が重くなる人が増えることを懸念する。
大久保氏は「新型コロナや風邪と異なり、鼻水や鼻づまりが時間の経過とともに重くなるのが花粉症の特徴」と説明。「現時点では発症していなくても、不安な人は、花粉症の季節が終わる5月の大型連休ごろまでは外でマスクを外さない方がいい」と話している。
花粉症患者を診察する池袋大谷クリニック(東京都豊島区)の大谷義夫院長によると、今年は例年と比べ、患者が症状を訴え始める時期が早いという。有効だった薬が効かない例もあり、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状が重くなった患者も多い。大谷院長は「過去10年で症状が一番重いという印象だ。市販薬の効果が薄い場合は、早めに医療機関を受診して」と呼び掛けている。