原発事故、国の賠償取り消す 福島・いわき原発避難者訴訟―仙台高裁
2023年03月10日19時58分
東京電力福島第1原発事故で精神的苦痛を受けたとして、事故当時の福島県いわき市民ら約1300人が国と東電に計約13億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は国の責任を認めた一審福島地裁いわき支部判決を取り消し、国への請求を棄却。東電だけに総額約3億2600万円の支払いを命じた。原告側は上告する方針。
原発事故、国の責任否定 「対策命じても防げず」―避難者訴訟・最高裁初判断
原発避難者が国と東電に対して起こした一連の集団訴訟では、最高裁が昨年6月、国の責任を認めない判断を示していた。
小林裁判長は、一審同様に津波の予見可能性を認め、規制権限を行使しなかった国の責任は重大だと指摘したが、「必ず重大事故を防げたはずと断言はできない」として、賠償責任は認めなかった。
東電の賠償額については、2011年末までの慰謝料を大人1人当たり5万~8万円増額するなどした。