「忘れたくない」「できることを」 犠牲者追悼のライトアップ―岩手・福島
2023年03月10日20時31分
東日本大震災から12年となるのを前に、被災地の岩手県と福島県では10日夜、ライトアップや、ろうそくをともして犠牲者を追悼する行事が行われた。「忘れたくない」「自分ができることを」。来場者はさまざまな思いを胸に明かりを見詰めた。
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岩手県大船渡市の商業施設「キャッセン大船渡」の広場では、表面にデザインを施した竹の中に、発光ダイオード(LED)の電灯を入れた「竹あかり」が置かれ、柔らかな光が辺りを包んだ。
長女(5)と長男(3)と共に、仏壇に供える花を買いに施設を訪れた陸前高田市の石川未来さん(38)は、竹あかりを眺め「何年たってもあの時のことは忘れられない」と話した。震災による津波で夫の家族が犠牲になったといい、当時を知らない子どもたちには「地震が起きたときにどう行動すればいいか教えていきたい」と語った。
震災の伝承活動をしているという大船渡市の女性(54)は、親戚3人を津波で亡くした。竹あかりを見詰めながら「犠牲になった人たちのことを忘れたくない」と語った。
昨年8月に一部地域の避難指示が解除され、住民の帰還が始まった福島県双葉町のJR常磐線双葉駅では「キャンドルナイト」が開かれた。被災者支援などを行う一般社団法人や町などが主催し、駅前広場に約1000本のろうそくが並んだ。1本1本に「あの日を忘れません」「にぎわいが戻るのが楽しみ」などのメッセージが記され、訪れた人はキャンドルの火を静かに見守った。
阪神大震災で友人を失い、東日本大震災の発生直後から被災者支援を続ける会社員の男性(56)は「キャンドルの火は復興の兆し。自分にできることをやろうと思わせてくれる」と話した。