赤字削減、共和党の譲歩迫る 「トランプ減税」撤回で対決姿勢―米予算教書
2023年03月10日21時00分
【ワシントン時事】バイデン米大統領は9日、2024会計年度(23年10月~24年9月)の予算教書で、向こう10年で3兆ドル(約410兆円)近くの財政赤字を圧縮することを議会に提案した。「債務上限」引き上げ問題を巡り、歳出削減を唱える野党共和党に譲歩を迫った格好だ。一方で、「トランプ減税」の撤回を表明し、24年の大統領選に向け対決姿勢も打ち出した。
バイデン氏、再選出馬へ布石 トランプ氏をけん制―米予算教書演説
「マッカーシー下院議長(共和党)と会う用意がある。あすにでもだ」。バイデン氏は東部フィラデルフィアで演説し、共和党との協議に意欲を示した。
連邦政府の借り入れの法定上限が速やかに引き上げられなければ、米国は夏にもデフォルト(債務不履行)に陥るリスクに直面する。下院で多数派を占める共和党は上限の引き上げに先立ち、歳出見直しを求めている。
バイデン氏は赤字埋め合わせの財源として、大企業や富裕層に「応分の負担を求める必要がある」と強調。返り咲きを狙うトランプ前大統領の「看板政策」だった大規模減税を一部撤回し、法人税率や高所得者の最高税率引き上げに踏み込んだ。これに対しマッカーシー氏は「歳入ではなく、歳出が問題だ」と反発している。
一方、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8日の議会証言で「債務の増加は経済成長よりも速い」と指摘するなど、債務膨張を懸念する声は根強い。
予算教書によると、米債務の国内総生産(GDP)比率は27年度に106.3%と、「過去最高だった第2次世界大戦直後の1946年を上回る」(米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」)見通しだ。同シンクタンクは、バイデン氏が予算教書で提案した3兆ドルの赤字圧縮について「その3倍近い規模の削減が最終的には必要だ」と訴えている。