公明積極擁立に自民反発 次期衆院選、選挙協力に悪影響も
2023年03月10日07時07分
公明党は9日の中央幹事会で、次期衆院選の埼玉14区(草加市など)に石井啓一幹事長(比例代表北関東ブロック)、愛知16区(犬山市など)に伊藤渉政調会長代理(同東海ブロック)をそれぞれ公認すると決定した。ただ、自民党も地元組織が候補擁立を模索しており、自公の選挙協力にしこりを残す可能性もある。
西田実仁選対委員長は9日の記者会見で「事前に了解を得ている」と述べ、自民党執行部も了承済みだと強調した。
衆院小選挙区の「10増10減」に伴い、公明党は定員増となる東京や埼玉、愛知などで積極擁立を図っている。自民党に対し、新たに4選挙区で候補を擁立したいとの意向を伝え、水面下で交渉を続けてきた。
公明党は昨年7月の参院選での比例得票数が約618万票と、比例代表制が初めて導入された1983年参院選以降、国政選挙で史上2番目に少なかった。集票力は低下しており、小選挙区候補を増やすことで議席を確保したい考えだ。
今回公認された石井氏は64歳。当選10回を重ね、次期代表候補と目されている。伊藤氏も将来を期待されており、有力な現職を立てることで、自民執行部の了解を取り付ける思惑もあるとみられる。
これに対し、自民党側は早速反発した。埼玉県連会長の柴山昌彦元文部科学相は9日、記者団に「自民党として有為な人材を立てたいという思いが非常に強い」と強調。愛知県選出の国会議員も「無所属でも候補を立てる」と息巻く。
公明党は東京28区(練馬区東部)でも候補擁立を目指しており、西田氏は会見で「自民党と調整の上、さらなる擁立を図っていきたい」と述べた。ただ、こうした公明党の動きに自民党関係者は「調子に乗り過ぎだ」と不快感を示す。執行部同士で調整が付いても、地元の協力が得られなければ自公選挙協力に悪影響を及ぼしかねない。
愛知県庁で9日に会見した伊藤氏は、自民党側の反発に関し、「理解を得られるよう努力し、与党統一候補として議席を確保したい」と語った。