発達障害の指導、受けやすく 教員「巡回」の自治体支援へ―文科省
2023年03月08日13時31分
文部科学省は、公立小中学校などの通常学級に在籍する発達障害児らが週に1、2回、コミュニケーション方法などを個別に学ぶ「通級指導」を受けやすくする方向で調整している。障害のある子どもが別の学校まで出向かなくてもいいように、指導教員が各校を巡回する方式を後押しする。この方式を採る自治体に対し、同省は2024年度から支援を強化することを検討している。
小中「8.8%」発達障害の可能性 1学級に3人の割合―支援行き届かず
通級指導は、校内に指導教員がいれば自校で受けられる。いない場合、指導教員がいる拠点校に子どもを行かせる「他校通級」と、指導教員が各校に出向く「巡回指導」があり、自治体ごとに方式を決める。国は指導教員の人件費を一部補助している。
文科省によると20年度の通級指導の割合は、自校方式64%、他校通級28%、巡回指導8%。他校通級は、保護者が子どもを拠点校まで送迎しなければならず、負担が重く通級を断念するケースもある。
一方、巡回方式は教員の移動にお金や時間がかかる。そのため、特に地方で他校方式を選ぶ自治体が多いとみられる。文科省は、子どもが移動しなくても指導を受けられるよう、自治体に財政支援して他校方式から巡回方式への転換を促したい考えだ。
20年度に通級指導を受けた子どもは約16万人。注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症などの発達障害が半数以上を占める。ただ、文科省の調査によると通常学級に在籍する小中学生の8.8%に発達障害の可能性があり、このうち通級指導を受けている子どもは1割にとどまる。障害を抱える子どもは多い一方、支援が行き届いていない状況が指摘されている。