高性能センサーで災害把握期待 H3搭載のだいち3号
2023年03月08日07時07分
打ち上げに失敗したH3ロケット1号機に搭載されていた先進光学衛星「だいち3号」は約280億円をかけて開発され、洪水や土砂崩れ、地震による地殻変動、火山噴火などの観測を期待されていた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川宏理事長は7日の記者会見で、衛星をつくり直すかは文部科学省など関係府省で議論することになるとの見方を示した。
「だいち」シリーズは地球を周回して主に陸上を観測する。2006年に打ち上げられた初代は光学センサーとレーダーを兼ね備え、11年の東日本大震災で被災状況の把握に大活躍した後、寿命が尽きた。2号は悪天候でも観測できるレーダーだけ搭載して14年に打ち上げられ、設計寿命を超えて運用が続く。最近ではトルコの大地震に伴う地殻変動を観測し、成果が公開された。
3号は高性能な光学センサーを搭載し、分解能は初代の2.5メートルから80センチに引き上げられた。地球周回高度は670キロで、必要に応じて観測方向を大きく変えたり、広域観測に切り替えたりできる。平時には国土地理院が電子国土基本図の更新にも活用する予定だった。
既にレーダー衛星4号の開発が進んでおり、同院宇宙測地課の佐藤雄大課長は「3号はとても残念だが、4号に期待したい」と話した。
3号には防衛装備庁が試作した特殊な赤外線センサーも搭載され、弾道ミサイルの発射探知などに使えるか検証するはずだった。