衛生、医療で大きな困難 被災のシリア反体制派地域―トルコ大地震
2023年03月08日07時07分
【ガジアンテプ(トルコ)時事】シリア北部アレッポ県アザズで活動する反体制派「シリア暫定政府(SIG)」幹部のアブドルハキム・マスリ氏は6日、電話インタビューに応じ、1カ月前のトルコ南部を震源とする大地震で深刻な被害が出た地域の窮状を訴えた。衛生環境の悪い路上生活などの長期化で感染症拡大が懸念される中、アサド政権との内戦でもとより支障が出ていた医療サービスの提供が一段と困難に陥っているという。
トルコの保護下にあるSIGは、アレッポ県と北西部イドリブ県の一部などで影響力を持つ。住民は300万人以上おり、うち100万人超は内戦の影響で地震前からキャンプで避難生活を送っている。
域内では今回の地震で少なくとも4200人が死亡し、6万人以上が新たに避難生活を余儀なくされた。さらにトルコで被災したシリア難民の帰還も続き、既に4万人がシリア側に入った。避難者の増加に拍車が掛かっている。
被災地で支援の調整に当たるマスリ氏によれば、多くの避難者が地震後、路上や衛生管理が不十分なテントでの生活を強いられている。清潔な水も足りず、「コレラなどの流行が懸念される」(マスリ氏)状況だ。
住民はこれまで、深刻な病気にかかったり、けがをしたりした場合、トルコの病院で治療を受けることができた。しかし、地震ではシリアに近いトルコ南部・南東部が甚大な被害を受け、トルコ側の病院に受け入れの余裕がなくなったという。
医療以外でも、トルコの支援なしでは住民サービスを提供できず立ち行かなくなるのが、SIGの現状だ。マスリ氏は「日本を含む国際社会には、トルコに対してと同じように、われわれへの貢献をお願いしたい」と呼び掛けた。