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避難者住まいに格差 危険冒してシャワーも―トルコ被災地

2023年03月06日07時05分

コンテナの仮設住宅。入居者の心理ケアのため、ソーシャルワーカーが敷地内を巡回していた=3日、トルコ南部カフラマンマラシュ県

コンテナの仮設住宅。入居者の心理ケアのため、ソーシャルワーカーが敷地内を巡回していた=3日、トルコ南部カフラマンマラシュ県

  • 被災者のエメル・ビリディクさんが暮らす自作のテント(手前)。奥は倒壊の危険があるビリディクさんの自宅がある建物=2日、トルコ南部ハタイ県イスケンデルン地区
  • 【図解】トルコ地震

 【カフラマンマラシュ時事】トルコ大地震の被災地では、165万人以上が避難生活を送っている。政府は仮設住宅の建設を急ぐが、テント生活者全員を入居させるには数が足りないのが現状。被災者の間で住まいの格差が拡大している。

「集合住宅には住めない」 倒壊恐れ心に傷―トルコ地震被災者

 トルコ当局によると、3日時点で避難者のうち146万人超がテントで生活し、仮設住宅に入ったのは4万5000人にとどまる。親戚宅などに身を寄せる人も多い。テント村には共用のトイレもあるが、数は十分でなく、シャワーはさらに足りない。
 南部ハタイ県イスケンデルン地区で被災したオスマン・キョグさん(44)は、被災直後から路上生活を続け、2月28日にようやく地元のテント村に入居できた。「地震発生から16日間は、シャワーを浴びることができなかった」と話す。
 倒壊の危険がある同地区の自宅がある建物の前に、自作のテントを張って暮らすエメル・ビリディクさん(47)は「危険だと分かっているが、シャワーは家で浴びる。もちろん急いで」と打ち明けた。当局は危険な建物には近づかないよう呼び掛けているものの、実際は出入りする人が後を絶たない。
 一方、カフラマンマラシュ県中心部で暮らしていたギュル・ギュムブルデクさん(29)は先週、県内の大学キャンパスに設置されたコンテナの仮設住宅に入居した。住戸ごとにトイレとシャワーが設けられ、キッチンもある。「以前のテント生活では、トイレとシャワーが本当に大きな問題だった。神に感謝する」と語った。
 2月6日の地震発生時は氷点下になることもあった被災地も、1カ月たって季節が変わり、一部では日中の気温が30度近くに達することもある。このため、テント村では暑さや食あたりといった問題も目立ち始めている。
 仮設住宅には、家族に高齢者や障害者を抱えていると当局が認定した世帯が優先的に入居できる仕組みだ。ただ、優先入居者の調整で透明性を確保するのは難しく、被災地では「生活支援の差別」を訴える声も出ている。

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