宝塚歌劇月組、「応天の門」を生き生きと 月城かなと、鳳月杏らが「ストイックに役を追求」
2023年03月02日15時30分
宝塚歌劇団月組公演「『応天の門』―若き日の菅原道真の事―」が、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で上演されている。灰原薬氏の人気漫画を舞台化した作品で、後に「学問の神様」と称される青年期の菅原道真が、平安の色男・在原業平と怪事件を解決する物語。芝居に定評がある月組は、トップスターの月城かなとを中心に、生き生きとした舞台を作っている。
権力者の欲望が渦巻く平安初期。屋敷にこもって書を読みふけっていた道真(月城)は、検非違使の業平(鳳月杏)に見込まれ、京の都で起きる怪事件の真相を探る。自分の理想を貫く生意気な青年・道真を、月城は細かい表情で巧みに演じている。
脚本・演出を担当した田渕大輔氏は公演中の取材で、月城について「理論的に役作りしつつ、湧き起こる感情も大事にする」と語った。月城は「道真は勉強ができるだけでなく、物事の真実を見抜く力がある。業平とタッグを組んだ時に自分以上の力が出せるように表現したい」と稽古期間中に話していた。
道真と対比されるのが、男役2番手・鳳月が演じる業平だ。月城は「道真は理想に向かって突き進んでいくが、業平はうまく生きないと、いざという時に力を出せないと考えている」と受け止める。
一方、娘役トップの海乃美月は、道真が悩んだ時に諭す勝ち気な女店主・昭姫を押しつけがましくなく演じ、舞台に活力を与えている。悪役・藤原基経に扮(ふん)する風間柚乃は、軽妙なストーリーの影の部分を担う。田渕氏は「(月城、鳳月を含めた)4人はすごくストイックで、役を深く追求する。言葉を越えたコミュニケーションがある」と手応えを感じていた。
宝塚大劇場で6日まで。東京宝塚劇場では25日から4月30日まで上演される。