男女4割超、「1年間、パートナーなし」 性的活動、満足度とも低調 東京財団
2023年02月28日16時56分
民間シンクタンクの東京財団政策研究所(東京)はこのほど、「日本人の性的活動、コロナ禍を経て一層の停滞へ」と題する論文を公表した。それによると、過去1年間に週1回以上の性交渉があったと答えた人は、女性で13.0%、男性で13.2%だった。他方、過去1年間に性的パートナーがいなかったと回答した人は、女性で45.3%、男性の44.5%。論文では、性生活の満足度についても調査しており、医師で同研究所主任研究員の坂元晴香氏ら研究チームは、「単純な国際比較は難しいが、性的活動もその満足度も日本は低いことが分かる」と指摘している。
妻12人・子ども102人、大家族に「もうたくさん」 ウガンダ男性
調査は2022年7月、オンラインで実施し、日本の男女8000人(20~49歳)から回答を得た。論文は米国の学術誌「The Journal of Sex Research」に掲載された。
性生活に関する質問では、「満足している」と答えた人の割合は、女性で27.8%、男性の23.1%。「満足しているとは思わない」は、それぞれ17.6%と27.1%だった。性生活について「とても大切だ」「やや大切だ」と答えた女性は37.4%、男性54.2%で、「あまり重要でない」「まったく重要でない」は女性33.8%、男性16.1%となった。
一方、論文は、日本の場合、性産業の利用状況が「諸外国に類を見ないほど高い」と指摘。生涯で性的サービスを利用したことがあると答えたのは女性4.0%、男性の48.3%だった。これに対し、例えばスウェーデンでは、生涯で性産業に対して金銭などを提供したことがある割合が、16~84歳の男性で約10%、女性は1%未満にとどまった。英国でも過去5年間に性交渉のためにお金を支払ったことがあると報告した男性は3~5%の範囲に収まり、女性はほぼゼロだった。
あらゆる性的志向を対象に、性交渉経験を聞いたところ、これまでの生涯で女性の15.3%、男性の19.8%が「性交渉相手なし」と回答し、40~49歳に限定すると、男女とも性交渉相手なしは、いずれも7%強だった。
調査した8000人のうち、異性愛者との回答は女性の82.9%、男性の87.4%。バイセクシャルはそれぞれ5.5%と3.4%、ホモセクシャルは0.9%と2.0%。他者に対して性的欲求・性的魅力を抱かない「無性愛」(アセクシャル)は、10.0%と6.9%。ただ、20代に限って見ると、14.7%と11.1%に割合が高まり、研究チームは「英国やスウェーデンとも1%未満と報告されていることを踏まえると興味深い」とした。
論文は「性的活動は個人の自由意志で行われるもので、第三者がその在りようについて意見するような類のものではない」と強調。ただ、「性と生殖に関するさまざまな課題が噴出するわが国で、実態を明らかにすることは対策を行う上で必要不可欠だ」とし、「個人の自由意志として尊重されるべき部分と、政策介入を行い社会として改善していくべき部分との冷静な見極めに、調査結果が活用されることを期待したい」としている。
※論文全体(英文)はこのURLから閲覧できます。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00224499.2023.2178614 。