「組織委と電通の了承必要」 五輪談合、企業幹部が供述―元次長ら28日起訴・東京地検
2023年02月28日08時56分
東京五輪・パラリンピックの会場運営業務を巡る談合事件で、受注調整に関わった企業の担当幹部が東京地検特捜部や公正取引委員会の事情聴取に対し、大会組織委員会と広告最大手「電通グループ」について「双方の了承を得なければ入札に参加できなかった」と供述していることが27日、関係者への取材で分かった。
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組織委元次長の森泰夫容疑者(56)と電通スポーツ局長補だった逸見晃治容疑者(55)が受注調整を主導したとされ、テスト大会計画立案業務の入札参加を制限するなどした独禁法違反(不当な取引制限)の疑いが持たれている。特捜部は勾留期限の28日、公取委の刑事告発を受けて電通グループや広告大手「博報堂」、イベント大手「セレスポ」など法人6社と、森、逸見両容疑者らを同法違反罪で起訴する見通し。
関係者によると、森、逸見両容疑者らは2017年7月以降、競技ごとに運営実績のある企業に特命随意契約で発注する方向で各社の割り振り表を作成。しかし、18年3月、発注単位が「会場ごと」の26件にまとめられ、発注方法も競争入札とすることが決まり、両容疑者らは受注調整を加速させたという。
同4月、入札の実施が先んじて公表された「東京国際フォーラム」など4件について、広告大手「東急エージェンシー」など4社を落札予定企業とするなど調整。その後も案件が公表されるたびに各社の合意を取り付け、同8月までに実施された入札計26件の大半が「1社応札」となった。
この間、「新国立競技場、東京体育館」など最多の5件を受注したセレスポ側は当初の予定になかった会場を希望する際、森容疑者に伝達。逸見容疑者にも面談して希望を伝え、その結果を森容疑者にメールで報告していた。
別の企業の担当幹部は特捜部などに「組織委と電通の双方に了承を得ないと入札には参加できなかった」と供述している。森、逸見両容疑者が各社から事前に報告を受け、了承するなどしていたとみられ、特捜部と公取委は刑事処分について最終調整を進めている。