「列車は人生そのもの」 松本零士さん、原点に青春の旅立ち
2023年02月20日15時43分
「列車は人生そのもの。終着駅は見えない」―。松本零士さんは、2018年に開かれた「銀河鉄道999」のデザイン列車のお披露目会で、代表作と自身を重ねてそう語った。
漫画家の松本零士さん死去、85歳 「銀河鉄道999」「ヤマト」
主人公の少年、星野鉄郎は機械の体がもらえる星を目指し、謎の美女メーテルと共に「銀河超特急999号」に乗り込む。作品の原点は、故郷の福岡から18歳の時に24時間かけて夜行列車で上京した自らの体験。帰りの汽車賃はなく、「死んでも帰らないという思いは鉄郎と同じ」だった。青春の旅立ちへの思いは強く、「木造の向かい合わせの座席、床や天井の色など車内もリアルに描ける」。
出世作「男おいどん」は、4畳半の下宿暮らしの極貧青年が主人公。1人暮らしでインキンになった体験などをコミカルに盛り込み、たちまち人気作に。こちらも自らの青春が土台で、「悩める同志諸君が救われると思った」と懐かしそうに振り返っていた。
海賊旗をあしらった帽子姿で親しまれた。「自分の旗の下に自由に生きる」。その思いは広大な宇宙への憧れとも重なる。「最後の作品は、宇宙から本物の地球を見た上で描きたい」。願いは果たせなかったが、松本さんの思いは、自由の旗を掲げた「宇宙海賊キャプテンハーロック」と共に、宇宙を旅し続けるだろう。