禎子さんの折り鶴、世界の記憶に 遺族ら、25年の登録目指す
2023年02月18日08時36分
広島市の平和記念公園に建つ「原爆の子の像」のモデルで、12歳で亡くなった佐々木禎子さんの折り鶴などについて、遺族らが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」への登録に向け準備を進めていることが17日、分かった。2024年の申請、25年の登録を目指している。
取材に応じた禎子さんの兄雅弘さん(81)は、ロシアによるウクライナ侵攻に触れ、「禎子の折り鶴を通じて人と人が思いやりの心でつながれば、戦争を止めることができるのでは」と訴えた。
禎子さんは2歳時に広島市内の自宅で被爆。10年後に白血病を発症し、回復を願いながら入院中に鶴を折り続けたが亡くなった。その後、平和記念公園内に像が建てられた。
NPO法人「SADAKO LEGACY(サダコレガシー)」(東京)副理事長で雅弘さんの次男の祐滋さん(52)によると、登録を目指すのは禎子さんが残した折り鶴のほか、血液検査の数値を記録した自筆のメモやカルテなど。既に文部科学省の担当者に相談しており、今後、広島県や広島市との連携や、米国のトルーマン図書館との共同申請を検討しているという。
祐滋さんは「被爆80年の節目に登録されれば、風化されつつある戦争の悲惨さや核兵器の恐ろしさを伝えることができる。次の世代にバトンをつなぎたい」と話した。