中部電40万件、関電15万件に 中国電も11万件、不正閲覧が拡大―新電力顧客情報
2023年02月17日22時12分
電力大手の社員らが送配電子会社の管理する新電力などの顧客情報を不正閲覧していた問題で、中部電力は17日、昨年4月から今年1月19日までの間に、家庭や企業向け契約の顧客情報39万9376件を不正に閲覧していたと発表した。関西電力も、昨年12月までの約3年間で、15万3095件の情報を不正閲覧していたと公表。電力大手による不正閲覧の常態化が浮き彫りになった。
不正閲覧疑い、電力10社に拡大 再エネ情報で報告命令―経産省
中部電では今年1月、電力小売り子会社「中部電力ミライズ」(名古屋市)の社員らが、送配電子会社「中部電力パワーグリッド」(同)の持つ新電力の顧客情報を閲覧していた事案が発覚。システムへのアクセス制限の不備が主因で、顧客名や連絡先を閲覧できる状態だった。端末の使用記録を解析したところ件数が拡大し、閲覧者数は5043人に上った。閲覧は顧客からの問い合わせに対応するためで、営業目的での利用は確認されていないとしている。
一方、関電では、社員ら1606人が昨年12月までの約3年間、家庭向け契約の顧客情報15万3095件を不正に閲覧。少なくとも38人の社員が営業活動に利用していたとみられ、経済産業省による業務改善命令の発出は避けられない見通しだ。
中国電力の送配電子会社も17日、調査期間を広げた結果、閲覧件数が11万3357件に拡大したと公表。相次ぐ電力大手による不正閲覧について、電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は同日の定例記者会見で「意識改革を含めた再発防止策を徹底していく」と強調した。
一方、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に認定された発電事業者の情報が不正に閲覧されていた問題で、東京電力ホールディングスの電力小売り子会社「東京電力エナジーパートナー」(東京)は17日、2018年7月から今年2月までの不正閲覧件数が4034件に上ると発表した。