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与野党、アベノミクス行方注視 岸田首相、路線「総括」課題に

2023年02月15日07時05分

閣議に臨む岸田文雄首相(右)。左は松野博一官房長官=14日午前、首相官邸

閣議に臨む岸田文雄首相(右)。左は松野博一官房長官=14日午前、首相官邸

 政府が日銀総裁に植田和男氏を起用する同意人事案を国会に提示したことを受け、与野党は今後の金融政策の行方を注視している。まずは24日にも行われる衆院での所信聴取で、黒田東彦総裁が主導してきたアベノミクスの「異次元の金融緩和」路線を植田氏がどう引き継ぐか、慎重に見極める考えだ。

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 「政府との連携の下、金融政策運営を行える方を念頭に検討した」。松野博一官房長官は14日の記者会見で人事の狙いをこう説明し、理解を求めた。
 自民党は安倍晋三元首相に近かった議員を中心にアベノミクス路線の継続を求める声が強い。安倍派幹部の世耕弘成参院幹事長は会見で、植田氏を「適正な人物」と評し、「現時点においては緩和姿勢を変更する必要はない」と主張。安倍政権時代の幹部も、2%の物価上昇目標を明記した政府・日銀の共同声明見直しについて「アベノミクスを否定する動きだ」とけん制する。
 岸田文雄首相は金融政策に関し「基本線は継承してもらう」と安倍派幹部に語っている。一方で、1月4日の年頭会見では「想定されたトリクルダウンは起きなかった」とアベノミクスの不十分さも認めており、今後の国会審議では、首相自身がどうアベノミクスを総括するかも問われる。
 これに対し野党は一様ではない。旧民主党は政権陥落から間もない2013年3月、黒田氏を起用する人事案に「総裁が空白になれば批判を浴びる」として賛成に回った。だが、安倍政権が長期に及ぶ中、アベノミクス批判を強めてきた。
 旧民主の流れをくむ立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で「必要なのはアベノミクスで行われてきた超金融緩和政策の検証、反省だ。今後どういうタイミングで正常化していくのか確認していく」と指摘した。
 安住淳国対委員長も党会合で「じゃぶじゃぶの金融緩和政策といううたげの後片付けを、どう影響を小さくしながらやっていくのか、考えをただしたい」と語り、植田氏のスタンスを見極める方針を示した。
 日本維新の会や国民民主党は緩和路線の継続を求めている。維新の遠藤敬国対委員長は「急ハンドルを切れば事故を起こす」と慎重な対応を要請。国民の玉木雄一郎代表は「バランスの取れた人事だ。持続的な賃金上昇に資するような金融政策をぜひやってもらいたい」と述べた。

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