ロシアと欧米、アフリカで綱引き ウクライナ問題、支持奪い合い
2023年02月15日07時05分
ロシアと欧米がアフリカ大陸を舞台に綱引きを行っている。ウクライナ侵攻から間もなく1年を迎える中で支持を奪い合うが、擦り寄るのは都合の良い時ばかり。アフリカの目は冷めている。
「欧米のロシア孤立化計画は失敗に終わった」。ロシアのラブロフ外相は1月下旬~2月初旬、南アフリカ、エスワティニ(旧スワジランド)、アンゴラ、エリトリア、マリ、モーリタニア、スーダンを次々と訪問。帰国後の2月10日にロシア外務省で演説し、歴訪の成果を誇った。
ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領も1月末、ジンバブエを訪問し、ムナンガグワ大統領と会談。「欧米の制裁は神の恵みだ」と強がった。ジンバブエは2019年に死去した独裁者ムガベ大統領の時代から欧米の制裁対象で、両国は「制裁仲間」だとルカシェンコ氏は強調した。
ハラレで記者会見したルカシェンコ氏は「制裁がなかったらジンバブエは欧米に資源を搾り取られていた。ベラルーシは今、ジンバブエと貿易できて幸せだ」と述べた。就任29年目でルカシェンコ氏は初めてジンバブエを訪れた。ムナンガグワ氏は19年にベラルーシを訪れており「パンデミック(世界的大流行)で延び延びになった答礼訪問がようやく実現し、とてもうれしい」とルカシェンコ氏を歓迎した。
これに対し、欧州連合(EU)からはボレル外交安全保障上級代表(外相)が1月末、南アを訪れた。プレトリアでパンドール国際関係・協力相と共同会見に臨んだボレル氏は「どちらの味方になるか選べと言っているのではない」と強調しつつ、南アが持つロシアへの影響力を戦争終結に向けて使ってほしいと要請した。
南ア沖では2月17~27日、中ロ両国と南アの3カ国海軍合同演習が行われる。ボレル氏は「あまり良いことではない」と言葉を選んで苦言を呈した。しかし、パンドール氏は「友好国」との演習はどこの国でも行うと素っ気なかった。
米国からはイエレン財務長官がセネガル、ザンビア、南アを訪問した。1月26日にプレトリアで「関係を深めるため協力したい。見せ掛けでもなければ、すぐに終わる話でもない。腰を据えて取り組みたい。アフリカの繁栄は米国の利益になる」と強調。一時的だったこれまでの姿勢をわびるかのように訴えた。