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市場関係者、大規模緩和の「出口」に注目 植田氏、対話改善に期待―日銀総裁

2023年02月14日07時05分

日本銀行本店の出入り口に立つ警備員(EPA時事)

日本銀行本店の出入り口に立つ警備員(EPA時事)

 政府が日銀の黒田東彦総裁の後任に経済学者の植田和男氏を起用する方針を固めたことを受け、市場関係者は、10年続いた大規模金融緩和策から抜け出す「出口戦略」をどう進めるかに注目している。植田氏には「論理的判断で政策を説明するのではないか」(大手証券)として、市場との対話が改善するとの期待感も出ている。

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 黒田総裁の下で日銀が進めた長短金利操作を含む大規模緩和策は、国債を特定の利回りで無制限に購入する「指し値オペ」や金融機関向けの資金供給策を拡充するなど複雑化した。市場では日銀が昨年12月に長期金利の変動幅の上限を0.5%に引き上げた後、政策修正観測が断続的に高まり、そのたびに長期金利が上昇(債券価格は下落)。日銀は金利上昇抑制のため大量の国債を購入せざるを得ず、難しい政策運営を迫られている。
 市場では新総裁が長短金利操作など政策の修正を余儀なくされるとの見方が多い。進め方については「(植田氏は)慎重に金融政策正常化に向かっていきそうな印象だ」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏)との声が聞かれる。一方、総裁就任後初めてとなる4月の金融政策決定会合で、「現在の政策効果と副作用を比較、検討した上で政策修正する可能性がある」(バークレイズ証券の海老原慎司氏)との観測も浮上する。
 現行政策に関与していない学者出身の総裁に代わることで、「論理的に意図を伝えながら機動的な修正がしやすくなる」(第一生命経済研究所の熊野英生氏)との見方も多い。サプライズが多く、市場との対話が必ずしも円滑だったとは言い難い黒田氏とは異なり、市場との丁寧なコミュニケーションを取ることが期待されている。

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