生活保護引き下げ「違法」 処分取り消し、全国5例目―宮崎地裁
2023年02月10日19時00分
生活保護基準額の引き下げは生存権を保障する憲法25条や生活保護法に違反するとして、宮崎市の受給者3人が同市を相手取り、引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟の判決が10日、宮崎地裁であった。小島清二裁判長は「厚生労働相の裁量権を逸脱し、違法」と判断し、処分を取り消した。
同種訴訟は全国29地裁で起こされ、処分取り消しは5例目。
国は2013~15年、物価下落を理由に生活保護のうち食費などの生活費に当たる「生活扶助」の基準額を引き下げ、3年間で総額約670億円を削減した。
小島裁判長は、生活扶助基準の改定が外部の専門家による検討を経ずに行われたと指摘。厚労相の判断は「専門的知見との整合性を欠く」として、過程に過誤、欠落があったと結論付けた。