災害不明者、氏名を公表 指針案、家族同意は不要―内閣府
2023年02月08日21時18分
内閣府は8日、災害時の安否不明者の氏名公表に関する指針案をまとめた。捜索対象者を絞り込む必要がある場合、自治体は家族の同意がなくても、安否不明者の氏名などを公表できると明記し、自治体の適切な対応を促す。同府は3月1日まで意見公募を行い、同月中に自治体に正式な指針を周知。地元での災害対応に反映してもらう。
指針案では、災害発生後72時間が人命救助のために重要だとして、速やかに安否不明者の情報を公表できるような備えが必要と指摘。都道府県は、市町村から提供を受けた安否不明者の情報を個人情報保護法に基づき公表できるとした。
氏名以外に、住所や年齢・年代、性別といった情報も公表可能で、範囲は自治体が判断する。安否不明者が配偶者からの暴力やストーカー行為などを受けており、住民基本台帳の閲覧が制限されていたり、警察や自治体に被害を相談したりしているケースでは公表しないよう求めた。
災害時の安否不明者の扱いを巡っては、2021年7月に静岡県熱海市で発生した土砂災害の対応で、同県が氏名などを公表したことで迅速な救助活動につながった。一方、自治体によって提供する情報の種類や、家族の同意の要否に関する方針が異なっており、国が統一指針の策定を進めていた。